タイランドエリートでタイ移住する人に最適な医療保険はどれ?
タイランドエリートビザを取得し、タイに移住する人の中で、一年の多くをタイに暮らす人には医療保険への加入をおすすめします。
タイは日本より医療費が高く、そもそも保険がなければ、支払い能力なしと判断され、受け入れてもらえない病院も少なくありません。
今回は、タイランドエリートビザでタイ移住する人に向けて、最適な医療保険について解説させていただきます。
タイ在住日本人が利用できる医療保険
タイに住む日本人が利用できる医療保険は、大きく以下の3つがあります。
- 日本の国民健康保険
- 海外旅行保険(クレジットカード付帯含む)
- タイの民間医療保険
タイランドエリートビザでタイに長期滞在する人もこの3つのどれにしようか、比較検討している人が多いのではないでしょうか。
駐在員や現地採用として働く日本人であれば、会社負担または自己負担で民間医療保険に加入している人がほとんどです。後ほど説明しますが、僕もタイの民間医療保険に加入しています。
まずは結論から
結論から言うと、一度の滞在期間が180日以内であればクレジットカード付帯の海外旅行保険、180日以上であれば、タイの民間医療保険がおすすめです。
おすすめの理由は最後に改めてお伝えしますね。それではまず3つの保険について説明していきましょう。
日本の国民健康保険
日本に住民票がある人は、国民健康保険の高額医療費制度や海外療養費制度が利用できます。
高額療養費制度とは、医療機関で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度のことです。この制度は海外でも適用されます。
上限額は、年齢(69歳以下と70歳以上)や加入者の所得水準によって異なりますので、ご自身はどれに当たるかを事前に厚生労働省の下記資料をご確認ください。
高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
自己負担額に要注意
海外療養費制度とは、海外渡航中に病気やけがで現地の医療機関で治療を受けた場合、支払った医療費の一部について払い戻しを受けることができる制度のことです。
自己負担割合は、70歳未満が3割、70〜74歳は2割、75歳以上は1割。
ただし、払い戻し対象になる医療費は、現地で実際に支払った医療費がそのまま対象になるのではありません。
日本国内で同じ治療をした場合の治療費を基準に計算されます。
たとえば、タイ現地での治療費総額が100万円で、日本国内で同様の治療が50万円だった場合、自己負担3割として、100万円のうち70万円が戻ってくるのではなく、35万円になります。
つまり、自己負担は100万円−35万円=65万円となるのです。
タイは医療費が高いため、このようになる可能性も十分にあります。
日本の国民健康保険はこんな人におすすめ
高額医療費制度と海外療養費制度のいずれを利用するにしても、タイ現地でかかる医療費の全額をご自身で支払う必要があります。
数万、数十万円であれば、問題ないと思いますが、手術などで医療費が数百万円となった場合が問題です。
逆に言えば、いくらでも支払えるという方は、民間医療保険に加入する必要はなく、国民健康保険でも十分かもしれませんが、そもそもそれだけの金額を支払える人は、クレジットカードの限度額にも余裕があると思いますし、付帯保険の補償内容も相当良いものであるはずです。
海外旅行保険(クレジットカード付帯)
2つ目の海外旅行保険は主にクレジットカード付帯のものを想定しています。数ヶ月単位で海外旅行保険に加入すると高額になるため、クレジットカード付帯で済ます人が多いからです。
クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、以下3つの項目に注意が必要です。
- 自動付帯か利用付帯か
- 家族、同伴者の条件
- キャッシュレス診療が可能かどうか
それぞれ説明していきますね。
自動付帯か利用付帯か
自動付帯とは、クレジットカードを所持しているだけで自動的に適用される保険のこと。日本を出国した瞬間から有効になり、有効期間は90日のものがほとんどです。
利用付帯とは、旅行代金の一部(航空機のチケット代やツアー代金、公共交通機関を使った移動費など)を該当のクレジットカードで支払うと適用される保険のこと。こちらも有効期間は90日のものがほとんどです。
持っているだけで有効になる自動付帯のほうが便利なのですが、コロナ禍の影響もあり、ここ1〜2年で自動付帯から利用付帯に切り替わるクレジットカードが多いのが現状です。
自動付帯で補償内容が良く人気だったエポスカードも、2023年10月から利用付帯に変更になります。
利用付帯の場合、どの旅行代金が対象になるかはクレジットカードによって異なりますので事前に要確認です。
たとえば、楽天カードは募集型ツアーの代金しか対象になっておらず、交通費を決済しても保険は有効になりません。
家族、同伴者の条件
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、基本的にカードを所持している人が対象となりますが、カードによっては家族や同伴者も補償対象になるものもあります。
お一人であれば考える必要はありませんが、家族が同伴する場合、補償対象になっているかどうか、事前に要確認です。
また、同伴者が補償対象外の場合でも、家族カードを発行することで家族を補償対象にするという方法もあります。
ただし、カードによっては家族カードには海外旅行保険が付帯していないものもありますので、発行前にご確認ください。
キャッシュレス診療が可能かどうか
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、キャッシュレス診療に対応しているものと、していないものがあります。
キャッシュレス診療とは、保険会社が病院に医療費を支払ってくれるもので、補償限度内であればご自身の負担はありません。
キャッシュレス診療に対応していない場合、まずご自身で全額を支払い、日本帰国後に保険会社に請求するという手続きが発生します。
国民健康保険と違い、補償金額内であれば、ほぼ全額払い戻しを受けられます。
ご自身の持っているクレジットカード付帯の海外旅行保険が、キャッシュレス診療に対応しているかどうか、出国前に必ず確認するようにしてください。
クレジットカードの海外旅行保険を90日以上に伸ばす裏ワザ
前述のとおり、クレジットカード付帯の海外旅行保険の有効期間は出国から90日のものが大半です。それでは90日以上連続して海外に滞在する人はどうすればいいのか。
実は、クレジットカード付帯の海外旅行保険を90日以上に伸ばす裏ワザがあるのです。
「クレジットカードで旅行代金の一部を決済したその日から保険が有効になる」という利用付帯の特徴を利用し、91日目以降にクレジットカードで旅行代金を決済。保険期間をさらに90日伸ばすという方法です。
たとえば、以下のイメージです。
- 日本出国〜90日まで
自動付帯のクレジットカードで保険適応 - 日本出国から91日目〜180日目
利用付帯のクレジットカードで現地交通費や航空券を決済し、保険が有効化。
2枚のクレジットカードを駆使することで180日まで海外旅行保険を伸ばすことが可能です。
3枚目、4枚目の利用付帯クレジットカードがあれば、270日、360日とさらに伸ばすことも可能になります。
ただし、利用付帯のクレジットカードのすべてがこの方法を使えるわけではありません。
中には、決済したその日から90日保険が有効になるのではなく、あくまで日本出国から90日というカードも多いのです。
たとえば、アメックスのグリーンやゴールドは、利用付帯かつ保険の有効期間も日本出国から90日です。91日目に現地で決済しても保険は有効になりません。
10月以降、利用付帯裏ワザにはエポスカードがおすすめ
先程、エポスカードが自動付帯から利用付帯に改定になるとお伝えしましたが、利用付帯になったことでこの裏ワザを利用できるようになります。
海外滞在が90日以内なら自動付帯のほうがありがたいですが、91日以上でこの裏ワザを使う人にとっては、自動付帯より利用付帯のほうが使い勝手がいいのです。
この裏ワザを駆使し、1年以上もクレジットカードの付帯保険を有効化している人も少なくありません。
「クレジットカード 海外旅行保険 利用付帯裏ワザ」で検索をすれば、どのカードが最適かという情報がありますので、ぜひチェックしてみてください。
タイの民間医療保険
最後はタイの民間医療保険について。個人的には短期滞在を繰り返す人以外は、タイの民間医療保険に加入したほうがいいと思っています。
おすすめの民間医療保険
タイでは医療費が高いこともありタイ人、外国人を問わず民間医療保険に加入することが一般的です。外国人でも加入できるものや日本人向けの医療保険でおすすめは以下の3つ。
- パシフィッククロス
- アリアンツアユタヤ
- 社団法人日本人共済組合(TJMA)
パシフィッククロスは、現在僕が加入している保険です。日本語ではなく英語での対応になりますが、ウェブサイトから申し込み、Eメールのやりとりだけで加入できます。
タイ国内はもちろんの海外の病院でも保険が使えますので、タイからの海外旅行や日本への一時帰国の際に重宝しています。
アリアンツアユタヤは外資系保険会社ですが、日本語が話せるタイ人の担当がいます。補償内容もよく、僕も過去に加入していました。日本語対応を求める人におすすめです。
社団法人日本人共済組合の保険はパシフィッククロスのもの。それをさらに日本人向けにアレンジした内容になっており、もちろん日本語対応です。
補償内容は要確認
民間医療保険の多くはキャッシュレス対応ですが、そうでないものもありますので、キャッシュレス対応かどうかは契約前に要確認です。
また、バイク事故が補償対象外になっている保険も多く、バイタクをよく利用する人も契約前に必ず確認してください。
タイランドエリートでタイ移住する人に最適な医療保険は…
タイランドエリートでタイ移住する人に最適な医療保険について改めてお伝えすると、僕のおすすめは以下のようになります。
- 一度の滞在期間が180日以内:クレジットカード付帯の海外旅行保険+利用付帯裏ワザ
- 一度の滞在期間が180日以上:タイの民間医療保険
日本の国民健康保険では支払った医療費を全額補償してもらうことはできず、医療費の高いタイでは、それなりの出費を覚悟しなければなりません。
コロナのような流行病が起きたとき、どれくらいの医療費がかかるかわかりませんので、国民健康保険だけでは不安です。
そもそも住民票を抜いている人は利用できないというデメリットもありますよね。
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、クレジットカードによって補償内容が大きく変わりますので、これ一枚で完璧!というものはありません。
ゴールドやプラチナなど、年会費がかかるカードほど、海外旅行保険の補償内容が充実している傾向にありますので、海外旅行保険の補償重視でカードを選んでみることをおすすめします。
タイの民間医療保険は、タイ国内だけでなく世界中で利用できるものを選べば、タイでの生活だけでなく、海外旅行や日本での医療保険もすべてカバーできる安心感があります。
個人的には長期滞在者であれば、民間医療保険への加入をおすすめしたいですね。
明石直哉
2011年からバンコク在住。2015年に起業し、現在は会社経営と写真家という二足のわらじで活動中です。 このブログではタイ移住を検討している方に向けて、在住10年の経験を活かした情報を発信していきます。
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