タイの治安や日本人が被害に遭いやすい犯罪、詐欺について
今回はタイの治安や日本人が被害に遭いやすい犯罪、詐欺についてのお話です。
タイに来たことがない人にとっては、タイは治安が悪そうなイメージがあるかもしれません。世界でもトップクラスに治安がいい日本に比べると、もちろんタイのほうが悪いわけですが、バンコクに暮らしはじめて10年、犯罪に巻き込まれたり、危険な目に遭ったりしたことは皆無です。
それでも年に何度かは日本人が被害に遭った事件について、在タイ日本国大使館から注意喚起のメールが届きます。
実際に住んでみないと治安面は実感できませんが、僕の経験や実際に日本人が被害に遭った事件を共有することで、あなたがタイで暮らしていく上での危機意識を高める一助になれば幸いです。
バンコクの治安
僕はタイではバンコク以外の都市に住んだことがないので、治安に関してはバンコクのお話になります。
バンコク、特に日本人が多く暮らす都心部のスクンビット、シーロム、ラチャダーあたりの治安は悪くはありません。
治安が悪くないというのは、明るい大通りであれば、女性でも夜のひとり歩きができる程度の治安の良さです。日常生活で危険を感じることは皆無と言えるでしょう。
それでも日本のように警戒心ゼロで行動すると、犯罪に巻き込まれる可能性はあります。
僕が避けたほうがいいと思う行動は以下のとおりです。
①深夜、人通りのない路地を一人で歩く
②酔っ払って一人で歩く、路上で寝てしまう
③酔っ払ってタクシーに一人で乗る
④夜間に女性一人でタクシーに乗る
⑤歓楽街(パッポン、タニヤ、ソイカウボーイ、ナナ)でタクシーを拾う
特に①④⑤は要注意。
実際に強盗やぼったくりに遭うのもこのパターンのときが多いです。
バンコクで夜の街を歩いていれば分かりますが、日本のように酔っ払いが一人で歩いていることはほぼありません。(外国人を除く)
酔っ払って、千鳥足で一人で歩いていると、一般人からはヤバい奴だと思われるでしょうし、犯罪者からすれば格好のターゲットです。
人通りのない暗い路地を歩いているタイ人もいません。高級住宅街であるスクンビットでも同様です。
タイ人はそれは危険な行為だと分かっています。だからやらないのです。
夜間に一人で行動するときは、くれぐれもご注意ください。
渡航中止勧告が発出されるタイ深南部の治安
タイは治安がいいとお伝えしましたが、タイ深南部は例外です。深南部とは、マレーシアと国境を接するヤラー県、パッタニー県、ナラティワート県及びソンクラー県を指し、これらの地域ではイスラム武装勢力が関係すると思われる銃器及び爆発物を使用したテロが、月平均約12件発生しています。(数字は外務省海外安全対策情報 令和2年度第3四半期のもの)
深南部は、外務省より危険情報「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」が発出されている地域です。これらの地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。
日本人が被害に遭いやすい犯罪
タイで日本人が被害にあった事件・事故は現地日本語ニュースでの報道やTwitter、FacebookなどのSNSを通じて知る場合が多いですが、それも一部に過ぎません。
在タイ日本国大使館では定期的に現地在住の日本人が被害にあった事件を注意喚起としてメールでお知らせしてくれますが、ぼったくりから強盗致傷まで様々な犯罪に日本人が巻き込まれているのです。今回はその中から事件を抜粋して紹介します。
ケース①「強盗致傷」
午前1時30分ころ、首都バンコクの日本人が多く居住する地域において、日本人男性が一人で徒歩により帰宅途中、バイクに乗った二人組の犯人に身体を数箇所刃物で刺された上、現金在中の財布を強奪されるなどの被害。
【対策】
日本人が多く集まる地域であっても、決して油断することなく、夜間の単独での外出は控えるなど、不測の事態に巻き込まれることのないよう、安全確保には十分注意を払って下さい。
ケース②「タクシーでのぼったくり」
首都バンコクのトンローやプロンポン地区にある商業施設や病院前において、日本人が客待ちをしているタクシーに乗車したところ、運転手から料金支払時に運賃として1,000バーツ札で支払うよう、しつこく要求され、先に1,000バーツから運賃分を差し引いた額をお釣りとして渡されたことから、1,000バーツ札で支払い降車しようとすると、運転手が100バーツしか受け取っていない旨申し立て、さらに追加で1,000バーツを支払わせるなどし、現金をだまし取る事件が発生。
【対策】
海外では日本人は裕福で多額の現金等を持っているというイメージを持たれ、財産犯罪のターゲットになりやすい傾向があります。同様の場面に遭遇した場合は、ためらわず「ノー」と断り、毅然とした態度で冷静に対処することが大切です。
ケース③「ひったくり」
首都バンコクのプロンポンエリアなどにおいて、日本人が歩行中、後方から走行してきたバイクタクシーに乗車した者に持っていたショルダーバック等をひったくられ、そのまま逃走される事案。
夜間帯に、首都バンコクのプロンポンエリアで、後方から減速して近づいてきたバイクタクシーに乗車する者が、歩行中の被害者の方が所持するセカンドバックやハンドバッグをひったくり、そのまま逃走する窃盗事件が続発しています。
【対策】
・車道と歩道の区別がない道路に特に気をつける
・バッグ等は車道側とは反対側に持ち、ショルダーバッグは、しっかりと体の前方に持つようにする
・夜間帯はできるだけ明るく、人通りの多い道を選んで歩く
・後方からオートバイのエンジン音などが聞こえたら後方を警戒する
・「歩きスマートフォン」や「歩き音楽プレーヤー」はやめる
この3つのケースはほんの一部でしかありません。一見、治安が良さそうで安全とされるプロンポンやトンローでも日本人が被害に遭っています。これは犯人が日本人をターゲットにしているということに他なりません。
裕福で警戒心が薄く、泣き寝入りするケースも多い日本人は犯罪者からしても絶好のカモなのです。
日本人街と呼ばれ、日本人が多く暮らすスクンビットであっても、そのことを念頭に置いて生活するようにしましょう。
日本人が被害に遭いやすい詐欺
最後は日本人が被害に遭いやすい詐欺について。これも在タイ日本国大使館の注意喚起メールから実際に日本人が被害に遭った詐欺事件を3つご紹介します。
ケース①「日本円見せてくれ詐欺」
バンコク都心部の路上やコンビニエンスストア等において、自称ドバイ出身の男女2人組から、「タイバーツを見せてください。」などと英語で声をかけられ、財布を取り出していたところ、その最中に財布の中からタイバーツ札等を奪われる窃盗事件。
【手口の一例】
犯人は、30歳前後の自称ドバイ出身の男女2人組で、コンビニエンスストア店内において、「タイに来て14日間の隔離が終わったばかりです。あなたは、どこの国の出身ですか。1ドルは何バーツですか。バーツ札を見せてください。」などと英語で声をかけ、在留邦人の方が財布を取り出したところ、突然何も言わず、財布からタイバーツ札や日本円札を抜き取った。
すぐにお金を抜き取られたことに気付いたため、犯人からその場でお金を取り返すも、犯人と別れた後になって、一部のタイバーツ札及び日本円札を犯人に奪われていることに再度気付いた。
【対策】
スクンビット界隈の路上や店頭等で、「日本円を見せて欲しい」などと声をかけられ、財布を取り出したその隙に、素早くお金を抜き取られる窃盗の手口は過去にも複数回発生しています。見知らぬ者から、お金を見せて欲しい等の要求があった際には、必ず不審に思い、安易に財布を取り出すことはせず、その場を立ち去るなど十分注意をして下さい。
ケース②「寸借詐欺」
数年前から首都バンコクの至るところ、特にトンロー地区、スクンビット通り沿い、シーロム地区、サトーン地区で邦人の方が、台湾人を名乗る人物から声をかけられ、現金をだまし取られる事案が度々発生。
【手口の一例】
自称台湾人、30歳後半から40歳位、チェンマイ在住、医師やレントゲン技師を装う人物(見た目は女性)が、トンロー地区において、一人で歩いている邦人男性に英語と片言の日本語を用いて、「パタヤからバンコクへのバスでの移動中に財布や旅券等を紛失して困っている。」、「旅券の再発行代等を含め、5万バーツ貸して欲しい。」などと申し向け、現金をATMで引き出させたり、自身の口座へ振り込ませたりして、お金をだまし取る手口。
【対策】
昼夜を問わず、見知らぬ人物から声を掛けられても、決して油断することなく、特に見知らぬ相手が金銭的支援を求めてくる等、不審な言動があれば、相手の要望に応じることなく直ちにその場を立ち去るなどして被害防止に努めてください。
ケース③「偽警察官による詐欺」
バンコクにて複数の男性がポリスバッジのようなものを提示し、所持品検査を行う中で財布の中身の検査を行い、現金を騙し取るという事案。
【手口の一例】
犯人(主に複数の男性)が被害者に対して,一見するとポリスバッジのような物(時には写真付きの証明書)を提示しながら,「◯◯事件を捜査中の◯◯警察である。」と言い、あたかも本物の警察官であると信じ込ませるような態度で近付いてきます。そして犯人は、「所持品検査をするので、身分証明書と財布を提示しなさい」、「財布の中に違法薬物がないか確認させてもらう」、「あなたの持っている現金は偽札の疑いがあるので、押収する」などの捜査活動を装い,隙を見て現金等を奪います。
【対策】
見知らぬ人から声を掛けられた場合に安易にその人物を信用することなく、状況から判断して,「疑わしい!」と感じた場合には,周囲に助けを求める等、その場から速やかに立ち去るようにして下さい。
①と②は僕も実際に遭遇したことがありますが、手口を知っていたので事なきを得ました。
③の偽警官に関しては、この手口とは違いますが、知人がバイクに乗った偽警官二人組から強盗未遂の被害に二度も遭っています。
詐欺に関しては命の危険がある事件ではありませんが、手口を知らないと引っかかってしまう可能性が高いですよね。
ぜひこれらの手口を頭に入れて、詐欺被害を未然に防いで下さい。
身近で起きた事件
最後は、僕自身または知人が被害にあった事件を3つご紹介します。
ケース①強盗
知人が強盗傷害に遭った事件です。深夜1〜2時頃、スクンビット・ソイ23の路上で20代の日本人男性が歩きスマホをしていたところ、バイクに乗った二人組の男に襲われる。後ろから羽交い絞めにされ、もう1人が正面からスマホを奪おうとしてきたので、抵抗したところ、ナイフで切りつけられ、大怪我を負う。すぐに入院したが全治数ヶ月の重症。
命に別状がなかったのがラッキーでしたが、アソークからエカマイにかけてのエリアは夜間強盗が多発していますので、みなさんも夜間の一人歩きは避けるようにして下さい。
ケース②オカマによる抱きつきスリ
これは僕のケースです。BTSアソーク駅前にあるウェスティングランデスクンビットホテルとロビンソンデパート前はオカマによる抱きつきスリの多発地帯として有名ですが、僕も何度か被害に遭っています。
複数人のオカマが近寄ってきて、身体を触ってくるのですが、その間にポケットに入っている財布やスマホを抜き取られるという手口です。
僕は手口を知っていたので財布やスマホをすられたことはありませんが、足早に逃げたところ、ハイヒールを脱ぎ、殴りかかってこられたことがあります。
スリというより強盗に近いですが、スクンビット通り沿いという深夜でも比較的明るい場所にも関わらずこのような事件は起こるのです。
パタヤのビーチロードでも同様の抱きつきスリ事件が多発しています。酔っ払っているとスられても気が付かないと思いますので、くれぐれもご注意下さい。
ケース③野良犬と狂犬病
これも僕のケースですが、街を歩きながら写真を撮っていると、スラムのような小さな路地に迷い込むことがあります。そのような路地では急に犬が襲ってくることがあり、何度か血が出るほど噛まれてしまい、病院に狂犬病のワクチンを打ちに行きました。
日本では野良犬を見かけることはほとんどないと思いますが、タイにはたくさんいます。バンコクよりも地方都市のほうが圧倒的に多いので、地方へ旅行の際には夜の街歩きは野良犬に要注意。
万が一噛まれて血が出た場合は、すぐに狂犬病のワクチンを打ちに行って下さい。
まとめ
以上、タイの治安や日本人が被害に遭いやすい犯罪、詐欺についてのお話でした。
ご覧のとおり日本に比べると、タイの治安は決して良くはないと思いますが、気をつけていれば防げるものも多いです。
タイを訪れる際には、ぜひこれらのことを思い出して、事件や犯罪に巻き込まれないようご注意下さい。
明石直哉
2011年からバンコク在住。2015年に起業し、現在は会社経営と写真家という二足のわらじで活動中です。 このブログではタイ移住を検討している方に向けて、在住10年の経験を活かした情報を発信していきます。
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